TDFとしてジェンベを作り始めて今年で15年。
果たしてジェンベは人々を幸せにできるのだろうか?
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2007年から欠かさず続けてきたフィットネスクラブのスタジオレッスンでジェンベを叩いて、またジェンベの生演奏でアフリカンダンスを踊るっていう試みは、昨今のコロナ禍の中、全休しています。
13年間続けたのに、、、っていう後ろ向きな感情はなく、この機会にいろいろ見直してみようと思います。
本当の意味でどうしたらジェンベが人々に幸福感を与えられるようになるのか?
皮肉にも自然な流れで移行しているZOOMなどを使ったオンラインレッスンはジェンベを叩くことの意味と、その良さ・弱点を明確にしてくれます。
お休みしているフィットネスクラブに置かせてもらっていたレンタルジェンベは2012年にマリからコンテナ輸入した際に皮を張ってある完成品として大量に輸入したもの。参加者の多く、バックヤードに比較的ゆとりのある店舗には20本置かせてもらっていて、導入店舗が一番多かった2016年には全店舗で100本を超えるジェンベをレンタルとして使っていました。
通常、レンタルジェンベってジェンベとしてのクオリティ重視ではなく「とりあえず叩ければよい」風なジェンベが多いものなんですが、ウチは比較的ハイクオリティなジェンベを叩いてもらっています。
フィットネスクラブは館内の気温・湿度等の保管環境が素晴らしく、多湿な日本の倉庫などと比べていい環境でジェンベの乾燥が進んでいくので、木のもともと持っている楽器の素材としてのポテンシャルが物凄くいい反面、毎週会員さんに叩いてもらうため「いい意味での使用感」があります。
今年のTDFはそのフィットネスクラブで「醸成された」ジェンベのなかで「これは!」ってジェンベをひとつづつピックアップしてきて分解、場合によってはフルレストアして比較的お求めやすい価格で販売しようと思います。
「RR(Rental Refine)」です。
RRジェンベは、ひとつひとつがその木が持っているポテンシャルを最大限に引き立てて、それを叩く人の「感情」に働きかけるチカラを持つ、、、そんな存在にしたいと思います。
今回ご紹介するRRジェンベはコレ
最近はギニアジェンベもコートジボアールジェンベも全体的なフォルムがマリジェンベ特有の「ふくよかさ」に寄ってきている気がしますが、このマリジェンベは文字通り「THEマリジェンベ」と呼ぶべきふくよかなカップとレグにかけてのラインを持っています。
34.5cm口径で褐色のレンケ材 と、もともとのポテンシャルは高く常に気になる存在でしたので今回真っ先にピックアップしてきました。
手を入れた箇所は
★エッジ形状変更
★リング交換
★足ゴム装着
★ロープ交換
とフルレストアですね。
エッジはトップの位置のズレをフラットにしてより密度の高い音質を追求しました。
最近クレイドルを少なく少なくで組んでいましたが、今回は35個のクレイドルをマリの平織りロープで配しました。
リングはトップリングは異型鉄筋6.25mm、受けの下リングは強固な鋼の7mmに変更、厚めの皮をしっかり張り込んでも全体の歪みを防ぐため安定したチューニングがキープできます。
足ゴムはボディへの負担が大きい横釘を使用しない仕様。コンクリートの屋外で演奏する機会が多い方にはうってつけです。
ロープは町屋の工場で作った黒の4.5mm。全体を黒でコーディネイトして褐色のボディを引き立ててます。
レグの下部が欠けているときは埋めて補修することが多いのですが、今回敢えて使用感として捉えて、その分足ゴム装着することでこれ以上欠けていかないようにしています。あくまでも自然なまま、というRR思想です。
マリの厚皮はギニアやコートジやセネガルのそれと比較して
①厚みの均一性
②音の艶
が優れていると思います。背骨付近が厚くお腹付近が薄いよりも安定したボディへの負荷によるチューニングの安定感と音の周りが自然になるように思います。
カービングはシンプル。しかしこのパターンはあまり見ませんね。
リユースという言葉がジェンベの場合当てはまらないんじゃないか?って思うくらい、経年変化は楽器としての魅力を増大させていて、それでも価格をグッと抑えめにするっていう、矛盾も感じながらのリリースです。
ステイホーム中ではありますが、いつかのためにお手元へ是非。
Mali Lenke 34.5cm/¥52,800→¥49,800