ジェンベの皮張りを始めて17年、最初は何度も失敗してあーでもない、こーでもないってやり方とか自分で考えて、失敗続きで皮買うお金が無くなって終いにはバスタオルで練習したりしてました。ちょっとした工夫が音や見た目に大きく影響するって、実は皮張りの大きな魅力だったんですね。だからこそ短時間睡眠でも耐えられた。 それは17年経った今でも変わらないのですが、だいたい「こうすればこういうサウンドになる」ってことが経験値として身についてしまったがゆえに、いや、それはお金を頂く身としてはベターなことなんですが、どうも「冒険」の要素がない。思わぬ音になるっていう「新鮮な驚き」が少なくなってきてました。 それは技術屋としては致命傷だと思います。もちろん大胆すぎるのも問題ある、なので小さなチャレンジはちょくちょくしてまして、今回結構新鮮な驚きのサウンドに鳴ったのでここにご紹介いたします。
TDF2014年モデルのマリジェンベ、現行モデルほどではないにせよカービングに様々な工夫と深めのカップで音の色気向上を目指してみたモデルです。 矢印が上向きで↑いかにも縁起良さそうなカービング。15年位前のギニアジェンベでたまに見かけたカービングですね。
TDFではアフリカの現地感を出すためによく鉄筋剥き出しのトップリングに太めの8mmシングルクレイドルというスタイルをとりますが、人によっては「鉄くさい」とか「布がない分リング鳴りがする」とかご意見いただくこともあります。匂いはね(笑)うん、感じたことないし慣れてくださいとしか言えませんが、リング鳴りに関しては確かに布で「ミュート」されてない分「ミュートされてない音」をリング鳴りと捉えられなくもありません。
そこで「布を巻かずに皮を巻いてみてはどうだろう?」と試してみたところミュートされることなくジェンベ独特の「上のほうでのコロ」を残して出るようになりました。鉄筋も巻皮で密閉するいことで「鉄の音と匂い(笑)」を遮断することに成功したのではと思います。
厳密にはよくあるツイストスタイルとは違う巻き方をしてます。自分の予想以上に滑らないためTDFとしてはリングが高めになってしまいました。あとは叩きこんで数ミリ下がるか、ってとこです。
小さなイノベーションっす(笑)
「上のほうのコロ」はこんな感じ。
ロープは主張せずに主張する自然なカラーリングの国産5mmロープを使用。ちなみに下リングは匂うので布巻きました(嘘)
音量・サイズ感、申し分ない一本です。奏者のレベル問わず心地よい演奏が楽しめます。よろしければどじょう。
Mali Lenke 33.5cm(DJ0423)/¥61,800